日本屈指の石のまち「真壁」で石材工場見学と石のコースターづくり~親子で社会科見学

 

古くは石器時代からずっと人々の暮らしを支えてきた「石」。石像などの文化財に限らず、私たちの身の回りには石畳やインテリア、墓石、さらにさまざまな建築物に石が利用されています。

「石でできたものって、どうやってつくるの?」「そもそも、石はどこで採れるの?」

JTB「旅いく」では今年(2018年)の夏休み、小学3年生から中学1年生までの総勢15名の親子で、関東の名山、筑波・加波・足尾の三山が産出する良質な「真壁石」のふるさと、茨城県桜川市真壁町を訪問。約6,000~7,000万年前から生成し始めたといわれる真壁石の採石場や石材加工場を見学するとともに、実際に石版を使った「石のコースター」づくりにも挑戦しました。

子どもたちは、緑の山の中に突如として現れた巨大な採石場にビックリ。さらに大きな石の塊を切断し、成形するまでの加工場と作業風景に興味津々。「安心石材店の会」のご協力で実現した、「石」と私たちの暮らしとのつながりを考え、感じ、発見する充実のツアーをリポートします。

 

出発~東京駅で茨城県産の石を身近に実感

集合は朝8時20分。東京駅近くの鍛冶橋駐車場に、眠い目をこすりながらも皆、元気に集まりました。バスは駐車場を出発してから、建武中興(1333年)の忠臣・楠木正成の銅像がある皇居外苑を経由し、新しくなった東京駅丸ノ内側の駅前広場へ。

楠木正成の銅像の台座と駅前広場の真っ白な石畳には、これから行く茨城県産の石が使われているといいます。東京駅周辺でさっそく「身近なところに石がある」ことを実感し、一行は首都高速から常磐道で一路、真壁へ。

バスの中では、「旅いく」バスツアー恒例のオリエンテーションです。A班、B班のチーム分けの発表と参加者の自己紹介。またガイドさんによるクイズ大会などで盛り上がりながら、遠足のような楽しい時間となりました。

常磐道土浦北インターを降りたバスは、筑波山を右手に見ながら一般道を進みます。風景はそれまでの田園風景から、だんだんと道沿いに石像やオブジェが目につくようになり、「石のまち」真壁に到着しました。

 

「石のまち」真壁を元気に探検!

バスを降りると熱気に包まれました。ツアー当日の最高気温は35度。しかし、A班とB班に分かれた子どもたちは、各班のリーダーを先頭に、元気にまち探検に出発しました。

事前に配られたミッションシートとまち歩きマップを手に、桜川市商工観光課のご協力のもと、真壁伝承館、旧真壁郵便局、伊勢屋旅館、石田金物店など石にまつわる7か所のチェックポイントを巡り、班ごとに協力しながらクイズに挑戦。バスの中で答え合わせをしてみると、どちらの班も全問正解でした。

ちなみに、真壁町は「石のまち」の顔の他、毎年2月から3月にかけて開催される「ひなまつり」が有名。期間中は観光客が10万人を超える一大イベントとなっています。

 

採石場と加工場~「切り出し」見学と「研磨」体験

まもなくバスは石材加工場に到着。お邪魔したのは「吉原(よしわら)石材工業」さん。自前の採石場をもっていて、地元では有名な腕利きの職人さんがいる加工場です。まずは職人さんの自己紹介があり、つづいてお仕事の内容を話していただきました。

ここからは、別のマイクロバスに乗り換えて採石場へ。

険しい山道を上がったところに、大きな岩肌をあらわにした採石場がありました。もちろん一般の人は立入禁止ですが、今回は特別に入れていただきました。全員ヘルメットを着用し、足元にも注意しながら、説明に耳を傾けました。

石は山の岩盤から切り出すのですが、1,200度もの高火力のジェットバーナーを使用するとのこと。実際にジェットバーナーを点火して切り出す様子を見せていただきました。

ガスに高圧力の空気を混ぜているジェットバーナーの音は、飛行機が離陸する時の音量に匹敵するそうです。その爆音の中で、防音用のヘッドフォンをしながらお仕事に励む職人さん。本当にお疲れさまです。

大きく切り出された石は、採石場から運べる大きさに割ります。石を割る方法は、縦に穴をあけたところに火薬を詰めて、砂で密封して発破するのだそうです。「火薬」「発破」という言葉を聞いて、参加者の中に緊張が走りましたが、小高い場所から、十分に安全な距離をとっての見学。3、2、1、ドーン! 一瞬のことでした。

真二つになった大きな石に、子どもたちがいっせいに注目! 火薬のあとで黒くなった部分を触ってみたり、断面のにおいを嗅いでみたり。写真を撮り、ノートにメモをとる子どもたちの目は真剣そのものでした。

職人さんにきちんとお礼を言い、マイクロバスで加工場へ戻りました。加工場には石の大きさに合わせた4種類の円盤カッターがあり、カットする工程を見せていただきました。円盤カッターはダイヤモンドでできていて、刃が折れないように水をかけながら、切断していくそうです。

石を小さくカットした後は、表面をツルツルに研磨し、完成させます。この研磨作業は、通常7回から8回も繰り返すとのこと。今回は作業の見学はできませんでしたが、その研磨具合がわかるようにと、職人さんが1回目から8回目の石を横に並べてくれました。すると、一目瞭然。研磨8回目の石の表面を皆でさわってみて、ツルツルピカピカを実感しました。このようにツルツルピカピカになった石材は、丁寧に包装をされて出荷されていきます。

 

石のペンギンと真壁名物「俵ハンバーグ」

採石場と加工場を見学した後は、石でできたペンギン像が出迎えてくれる「ペンギン」さんで昼食をとりました。ハンバーグで有名なお店で、皆楽しみにしていたのが「俵型ハンバーグ」です。実は、真壁に向かう途中のバスの中で、すでにソースの種類などをオーダーシートに記入していたので、待ち遠しく思っていました。

一人ずつ運ばれてくる熱々の鉄板とハンバーグ。熱気が立ちのぼり、質問もいろいろ挙がっていました。目の前では店員さんが、それぞれが希望したハンバーグソースをかけて、切り分けてくれました。

 

職人技、石材彫刻技術を見学

石材を製品として出荷する工程は、加工し、研磨(仕上げ)するだけではありません。例えば石が使われている神社の鳥居には、神社の名前や寄贈した方の名前、日付などが彫ってあります。しかも、その名前には色が付いている場合もあります。

石のさまざまな彫刻技術を見に、「刈部(かるべ)字彫工業」さんへお邪魔しました。字を彫るためのデザインをする事務所と、石にデザインを転写して彫って、色を入れる工場とに分かれています。

事務所では、パソコンでデザイン案をつくり、そのデザインをプリンターに送信すると、専用のゴム判に転写されます。そして、その転写に沿って今度はカットしてくれる優れものです。もちろん実寸大でつくらないといけないので、プリンターは非常に大きなサイズです。

工場では、事務所でつくったゴム判を実際の石に貼り付けて、まずはデザインを転写します。転写できたものを今度は彫っていきます。彫刻刀のようなもので彫っていくのかと思いきや、なんと砂を吹き付けて彫っていくのだそうです。もちろん替えがきかない石材で試すことなく、大きな装置に手だけを差し込んで作業をしていきます。一部の希望者のみでしたが、実際に体験させていただきました。また、工業用の塗料も見せていただいたら、一気に吹き付けができるものでした。

ここではさまざまに石材を彫刻していますが、「納期」に間に合わせるため、効率よく作業をするうえでの工夫も学びました。また、作業が一通りできるようになるまでには5年かけたスキルが必要だそうで、腕を磨いた仕事ぶり、まさに職人の技を見学させていただく貴重な体験となりました。

 

名前に色付け、オリジナルコースターづくり

石のコースターへの色付け体験を、茨城県立真壁高校の稲荷原農場にある教室をお借りして実施しました。真壁高校は、石材加工についての学科のある全国唯一の高校だそうです。

先生役は、引き続き刈部字彫工業の刈部さん。石のコースターが参加者全員に配られました。名前はすでに刈部さんが彫ってくださっていましたので、そこにアクリル絵の具で色を塗っていきます。

教室には、授業用のアクリル絵の具をはじめ、紙製のパレットや筆、水桶など一通りの道具が揃っていて、まずはジェッソと呼ばれる白色の下地材を塗ります。これを塗ることで、きれいに色が出るそうです。ジェッソを乾かしてから、アクリル絵の具で色を入れていきます。1色でシンプルに色付けする子や、カラフルに色付けする子など、いろいろと想像力を働かせて、きれいに仕上げる子どもたちには、ただただ驚かされるばかりです。

アクリル絵の具を乾かしている間、真壁高校の敷地内にある実習棟へ。こちらでは朝、お世話になった吉原石材工業の吉原先生が待っていました。3種類の石を用意していただき、白や黒など、色の違いで石の硬さが違うのかどうか、ハンマーやのみを使って、実際に叩いて確かめてみました。栃木県の宇都宮産の大谷(おおや)石は軟らかくてすぐに崩れましたが、加工しやすい特徴があるそうです。一方の真壁石は非常に硬くて、叩いてもちょっと傷が入る程度で、全くビクともしませんでした。水を吸いにくく、磨いてからとても長持ちする特徴があることから、墓石としても最適だそうです。

教室に戻って、アクリル絵の具が乾いたかどうかを確認。色のはみ出した部分はきれい拭き取って完成! オリジナルの石のコースターができあがりました。

 

まとめと振り返り

最後は、班ごとに今日のまとめをしました。いろいろな体験の中で、体験ノートには見たことや感じたことが書き込んであります。「どんなことをやった?」「何を見つけた?」「むずかしかったのは?」「工夫したのは?」「気づいたことを教えて」と、みんなで話し合いながらまとめ、そして発表しました。

「石を切り出す時の音がすごかった」、「石を切り出すカッターの大きさが自分よりも大きかった」、「ハンバーグがおいしかった」、「石を彫るために砂を吹き付けるとはビックリした」、「コースターにすでに名前が彫ってあって、自分で色付けができてうれしかった」など、子どもたちの素直な感想が綴られていました。

 

今後にむけて

最後の集合写真では、暑さに負けず、とても素敵な笑顔で、ありがとうございました!

今回同行された保護者の皆様へのアンケートでは、石材の生産現場を工程に沿ってご覧いただくホンモノ体験のプログラムで、(子どもたちに)どのような「力」が育まれたと思うか、ということをお聞きしました。最も多かったのが「感じる力」、次に「調べる力」「工夫、発見する力」でした。

また、「個人では参加できないことを体験できて良かったです。ありがとうございました」というご意見もありましたが、実際の工場でホンモノの職人さんに講師役になっていただいたことも、皆様のご満足につながったのではないかと思っています。

今回のツアーは、「安心石材店の会」のご協力により実施させていただきました。皆様からのご意見、ご要望を受け止め、JTB「旅いく」と「安心石材店の会」は、これからも「子どもたちの心に残るホンモノ体験」の提供をつづけてまいります。

 

  • 「安心石材店の会」について

北海道から東海地方までの石材店が加盟する、安心できるプロの石材店の集まりです。優れた品質、確実なお届け、適正な価格、明るい店づくり、心が通うアフターサービス、真心のこもった対応をモットーに、それらを常に追求し、実践するために「安心石材店の会」はあります。また、この会には石材工事、石材彫刻、石材運送、石材工具などの販売を専業とした副会員が、会の事業および活動を理解し、協力しています。

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